タイトルに反して仕事にならない修理・改造・破壊記事を書くジャンクなblogです。

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    2016年6月5日日曜日

    ジャンクでDAC遊び DM-7080編(SAA7350GP+TDA1547 DAC7)

    DM-7080は、ケンウッド独自のD.R.I.V.E(Dynamic Resolution Intensive Vector Enhancement)システムを搭載している。更にPhilipsのDAC7(SAA7350とTDA1547)を搭載している。PhilipsのDAC好きとしてはDAC7はどんなものか聴いてみたくて探していたのだが長いこと縁がなかった。この機体は既にディスクの読みが悪い状態で、DAC7で遊べるなら丁度いいという感じで購入。

    このDM-7080はググっても改造したという記事があまり引っかからない。MDを使うために買った人なら頑張って修理をするだろうけど、まず個人的にはMDへの思い入れが全然ない。この機種を知ったときはMDにDAC7を使うのはDAC7の無駄遣いでないのという感じだった。


    DAC7のTDA1547を生かしたくてDM-7080をそのままDACとして使おうとすると、ブランクディスクを入れて録音停止状態にするという手順になる。 そのためディスクの認識が怪しい機体では少々無理があるようだ。

    幸い、この当時のプレーヤーは単機能なチップを組み合わせているため改造も簡単にできる。スマートではないがSPDIF入力の乗っ取りで大抵は何とかなるように思う。

    お手軽にDACとして使いたい人向けには後継機種のDM-7090にデジタル入力のモニター機能があるためそちらのほうが実用的で人気があるようだ。ただしややコストダウンがされていてDAC7は搭載されていない。


    回路としては、ATRAC(CXD2536R)→デジタルフィルタ(SM5841CS)→D.R.I.V.Eチップ(KAN02)→デジタルフィルタ(SAA7350)→DAC(TDA1547)→LPF(4565)という構成になっていた。
    デジタルフィルタはPhilipsのものではなくNPCのもので、ここが違うといわゆる本来のDAC7とは違うかもしれない。そもそもD.R.I.V.Eチップも入っているためそこでも音は変わる。
    SPDIFを入力するインターフェースはいつも使っているPD0052を使用した。いわゆる信号安定度などが高品質なインターフェースではないものの、テストでとりあえず鳴らすときに便利に使っている。


    今回はインターフェースを組み込み用にもう1枚作成した。シュリンクDIPのICは斜めに付けたほうが楽に取り付けができる。


    手順としては、ATRAC後を切り離して乗っ取り、デジタルフィルタへデジタルデータを入れた。何でもいいのでMDディスクを認識させ、MDの再生状態では音が出ることを確認。その後LPFの後にあるミュート用トランジスタを取り除きMDの再生状態でなくても音が出るように変更した。

    テスタで確認したところデジタルフィルタはディスクを入れないと動作していない。ディスクを入れた段階で各チップにリセット信号が行くようだ(ディスクを入れるとRSTピンに5Vがかかる)。
    それならいつでも5Vかけてれば良かろうということで、システムコントロールICから出ているピンを切り離して抵抗を挟んで5Vに繋ぎ、電源を入れた段階でデジタルフィルタが動作するように変更した。

    ミュートトランジスタなしでデータ入力がない状態だとノイズが結構出てしまうので、デジタルフィルタのソフトミュート機能を利用しミュート信号を入れられるように変更した。
    実装状態だと既にミュート用ピンはGNDに落ちていたので足を浮かせて配線することに。デジタルフィルタでソフトミュートをしても結局はザー音が出るが何もしないとバリバリ音ノイズなのでそれよりはマシという程度にはなった。
    データを本体のSPDIF入力に繋げる場合は、SPDIF端子から信号線を辿っていって74HC04から出た辺りにつなげれば良い。


    以上で電源ONだけでDACとして動作する。システムコントロールを弄れないのでディスプレイにはNO DISCと出っ放しである。確かにディスクは入っていないからそのとおりであって、頭を使わない改造は基本的に力技となる。本来は何とかしてシステムコントロールを弄るのがスマートな改造と言えるだろう。

    とりあえず聴いてみたところでは、高音域が潰れてしまわずにきれいに分かれて聴こえるのと、1bitなDACとしては低音もしっかり出ていた。綺麗めにメリハリを利かせたようにも聴こえる。全体として音質は良いと言えるだろう。臨場感があるため聴き慣れているディスクでも新鮮でいろんなディスクをとっかえひっかえして聴いてしまった。

    テキトー改造な上に安価なインターフェースで繋いでも意外と問題が無く、Philipsチップの良さとKENWOODの設計でいい音になっているようだ。インターフェースの出来よりDACチップの違いのほうが大きいと言える。DAC7の使い方としてみればMDの圧縮音源を流すよりはCDのPCMデータのほうが実力を出しやすいはずで、ようやく本領発揮といったところだ。

    おすすめ度:☆☆☆☆☆(5)

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