追加修理一覧
- 破損したファイナルトランジスタの交換
- RCA端子を磨く
- ヘッドホンリレーの交換
- リレー/ボリューム/スイッチの接点をできるだけ分解洗浄
- コンデンサの交換
- 外装のクリーニング
電力はこわいなーと思いつつ、メインのコンデンサを放電してから各部部品を取り外しながらチェックした。ファイナルのトランジスタの1ペアがショートしていたが、初段のFETやデュアルトランジスタは大丈夫のようだ。
ファイナルのトランジスタの型番を調べるとまだ販売していたため2SA1186と2SC2837と1ペア購入した。飛ばしたものとほぼ同じ定格のヒューズも購入した。販売していたからまだ良かったようなものの、貴重なトランジスタを使った機種なら終わっていた所だ。
トランジスタをつける前に、ファイナルを全て取り外したまま動作させてプロテクト解除することを確認した。ファイナルのトランジスタを全てはんだ付けし電源を入れる際は、一度飛ばしているためスイッチを入れるのが恐ろしくなる。
結果的には問題なくプロテクト解除するのを確認できた。再度DCオフセットとバイアスの調整を行った。単純に運が良かっただけだが、ファイナルトランジスタの交換だけで動作復帰することができた。
2)
各部分を点検していて気が付いたのがRCA端子の抵抗。ぱっと見ではあまり汚れもないのにシャーシから数十オームの抵抗がある。盛大なハム音は入力部のアースの浮きだったようだ。端子をしつこく磨いたところ抵抗を減らすことができハム音は解消した。最初に磨いておけば余計な失敗をしなくてよかったのにという感じ。
3)
スピーカーからは音が出るようになったものの、ヘッドホン端子からの出力がない。
リレーに電圧を加えても接点が動作しない。
リレー隣のダイオードをチェックしてみるとただの抵抗になっていた。基板が焼けているわけだ。リレー単体でも動作しないため両方ともNGだった。ダイオードを交換しリレーはピンアサインが特殊なため汎用品の24Vリレーをリード線で取り付けることにした。
4)
オーディオ信号が通過する接点を磨く。リレー/ボリューム/スイッチの接点は大量にあり、ほぼ全てが汚れていた。いっぱいあるため写真は省略。コンパウンドで磨いてアルコールで洗浄した。洗浄後、スイッチについては接点グリスを塗布して再組み立て。
5)
数時間テストを行い一応は動作が確認できた。ただし音質はこんな程度?というやたら硬い音。さらに低音のあるソースを入れると音がつぶれる。
基板上の部品のチェックで分かっていたのだが、Aクラスの電源部にあるMUSEコンデンサーの容量が定格1000μFの7割以下になっていた。85℃品でヒートシンクの真横にあるため劣化が早いようだ。
交換品には一応オーディオ用でも使われる青いスリーブのPanasonic FCを使うことにした。105℃品の使えそうな品種の中では安かったという理由。このコンデンサを交換したところ良い結果になった。瑞々しい音といった印象になり低音があるソースにも対応し破綻がない。緑のMUSEは容量が抜けていたが、赤いスリーブのDuorexは容量が抜けていないようだ。本来は全体的に交換が望ましいと思う。
6)
外装をクリーニングしワックスでピカピカになった。購入時点でステレオ/モノラルの切り替えノブが不足だったので適当なものを取り付けておいた。他がきれいになったのでこれがちょっと気になる。
まとめ
修理で交換した部品はこんな感じに。手間がやたらかかった割には交換部品は少ない。
スイッチひとつ清掃するだけでも手間がかかり、たぶん個人の趣味でなければなかなかできないなーという印象。最低でも数日はかかるため業者が同程度の内容を作業する場合結構な修理工賃がかかるだろう。
初心者だけあって間抜けな失敗でトランジスタを破損したので余計な出費もあった。
結果的には修理が完了し良い音が出るようになるのは楽しい経験だった。30年前のアンプはさすがに草臥れているため、仮に音が出る状態で買ってもそのまま評価してはいけないようだ。音質が堅いというレビューを見たことがあるので、修理していい音で聴いてもらいたいものだ。