なにかに文句を言ったり写真を撮ったり、ごくたまに修理(改造・破壊)記事を書くblog。

    2015年11月21日土曜日

    PCM56P NOS(ノンオーバーサンプリング)DACを作ってみた

    前回投稿したデジタルオーディオインターフェースを作ってみた(Pioneer PD0052)は何に使うかと言うと、表題のDACを使うために作ったのだった。

    色々なDACの方式で音が全然違うというのは聞いていたが、話を聞くのと作って使って聴いてみるのでは全く違うわけで、まずは作ってみることにした。
    今はデルタシグマ型という1ビットDACが主流であるものの、昔ながらのマルチビット方式DACの音が良いという人も居るのだそうだ。

    さらにマルチビットでもオーバーサンプリングしているDACは16bitしかデータが入っていないCDのPCMデータを一般的にはデジタルフィルタで補完して20bitなどに しているため、フィルタによっては音が変わるらしい。
    そのフィルタがなく16bitをそのまま変換するのがNOS DACというわけで(この辺テキトーな理解なので間違っているかも)、これで問題がないのであれば(実際は折り返し雑音?が出るなど問題あるらしい)シンプルイズベストと言える。今回はローパスフィルタを使ったものの、フィルタ無しで作る人もいるようだ。

    PCM56P(データシートpdf)は16bitのシリアル入力DACで、データシートを見てみるととてもシンプルな外付け部品でDACが作れる。一見するとロジックIC並みの外付け部品の少なさで、簡単な回路でちゃんとした音が出るという便利なものだ。80年代半ばに使われたチップなのに未だ生産しているらしい。
    生産しているらしいもののPCM56Pは無印でさえ既にプレミア価格であり、結構高い。せっかく作るので電源を近くに配置したり、オペアンプを使ってI/V変換とローパスフィルタを配置して作ってみた。


    使用部品は以下の通り。PCM56P以外は安価な部品で作成可能。

    • PCM56P 2個
    • 74HC04 IC 1個
    • 7805、7905、7812、7912 レギュレータ 各1個
    • OPA2134PA オペアンプ 2個
    • 0.1μF50V積層セラミックコンデンサ 21個
    • 100μF25V電解コンデンサ 4個
    • 10μF16V電解コンデンサ 4個
    • 2kΩ 抵抗 4本
    • 4.7kΩ 抵抗 4本
    • 200kΩ 抵抗 2本(100kΩ4本で使用)
    • 470kΩ 抵抗 2本 
    • 100kΩ ボリューム 2個
    • 2200pF コンデンサ 2個(オーディオ用フィルム等の方が良い?)
    • 1000pF コンデンサ 2個(同上)
    • フェライトビーズインダクタ 1個
    • その他ユニバーサル基板、ICソケット、コネクタ 配線材等
    検討してみた配線図はこれ(部品面から見た場合)。


    色々な方法があるらしいものの、74HC04でLRCKを反転して入力するだけの簡単なタイプで作成した。図を見ると最初はつけるつもりがなかったため、後から追加したMSB調整部分(小信号時のノイズ調整)がはみ出している(笑)。後述するが基本的にMSB調整はつけなくて良いらしい(データシートにもオプションになっている)。

    LPF部は計算するためのページを利用させてもらった。計算した中で手持ちの部品でできたLPFは結果的に35KHzになったという感じ。
    部品の配置図は以下の通り。

    今回もまた銅箔テープでベタGNDを作ってみた。使い方によっては便利なものだ。一部浮いた島ができてしまったため、すべてリード線でGNDと接続した。


    基板上で±5Vと±12Vのレギュレータを配置しデジタルアナログ系を分離してみた。大した部品数ではないものの、時間が結構かかった。しっかり作るにはやはり基板は発注するべきだと思う(やったことないけど)。

    小容量のセラミックコンデンサを比較的たくさん載せてみたが、あまり意味はないっぽい。データシートでは普通の電解コンデンサを4つだけ使っている。全体の通電チェックをし、仮にチップを載せてみた。(この写真ではオペアンプはJRCの2114DDが載っている)


    基本がいまいちわかっていないので、GNDまで分離してみたのはいいものの、デジタルGNDとアナログGNDを一切繋がずにいたらノイズが出てしまった。下手にGNDは分離しちゃダメなんだなあと勉強になった。どうやらGNDはしっかりと繋げばいいらしい。データシートに明示してデジタルGNDとアナログGNDが別になっている意味が正直良く分からんのだった。デジタル系のノイズを分離するためで、繋がないといけないなら高周波を遮断するフィルタで繋げばいいはず。

    実際どうなるかというと、PCM56PでD/AのGNDを単に分離すると盛大なゼロクロス歪が出る。オシロスコープで見てみると中央0Vから上下10mV以上が抜けた状態で繋がっていない。小信号時にブチブチノイズが出るのでチップ自体がダメなのかと思ってしまった。本来ゼロクロス歪を調整できるはずのMSBの調整ボリュームを付けてもノイズが大きくなる方向にしか調整できなかった(笑)。
    とりあえずD/AのGNDを接続したらMSB調整が効き、ノイズは調整できたので良しとした。オシロスコープ上でゼロクロス歪が少ない状態に調整できた。今回はフェライトビーズで繋いだが、この2番目のpdfを読むとフェライトビーズも挟むなと書いてあったりする。一応動作しているが、これで良いのかどうかは不明。


    電源はジャンクのトランスを2組用意して、デジタル系とアナログ系に繋いで使用している。実際の機器ではトランスを複数使うのは高級機だけだが、ジャンク出身ならいくつでも使えるというものだ。


    PD0052のデジタルオーディオインターフェースを繋いで、しっかりとした音が出た。
    MSB調整用になぜかでっかい2連ボリュームが付いているが、手持ちに100kオームのがこれしかなかったため。ローパスフィルターのコンデンサなどは手持ちにあった安物なので今後交換してみたいところ。I/V変換とローパスフィルター部のオペアンプは200円のOPA2134PAを使っているが、これでも音質的には十分な気がする。もちろんもっと良いものに交換しても楽しめそうだ。

    PCM56Pが良いのだろうけれど、いい加減な部品選定でもしっかりした音が出るもんだなあと感心した。 DAC制作にハマる人が多いのも良く分かる。一番ベーシックなこのDACでこんな良い音が出るならまだCDというローレゾもまだまだ捨てたものではないのだ。聴いていてもノイズは少なく、折り返し雑音とか言われても分からんのが正直なところであった。

    むしろ部品点数を大量に使った凝ったDACの回路スペック上はいいけどいまいち音が良くないDACって何なのという気がしないでもない。

    0 件のコメント:

    コメントを投稿