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    2018年3月6日火曜日

    デジタル補正機能搭載カセットテープデッキの修理(PIONEER T-WD5R) その1

    どこかでデジタルの対極としてカセットテープがはやっているらしいと聞いたが、さっぱり実感がない世代なのでそれとは全く関係なくカセットテープデッキを入手したので修理してみる。

    カセットテープは元々アナログな機械であって、メカの精度が良い高級機で厳密な調整をすれば一般的なカセットテープのイメージを軽く超えた音を出す。それとはまた別の方向でわかりやすい高音質を目指したのがPIONEER T-WD5Rのようだ。S/N 90dB DIGITAL PROCESSING SYSTEMのシールがなかなかすごそうな感じ。


    T-WD5Rはノイズの低減とカセットテープで足りていない事の多い高音部分を補完してこもった感じを無くすのを目的としたデジタル補正機能を搭載している。価格帯は6万円なのでメカはエントリーレベルで、それにデジタル補正機能を足したらどこまでいけるのかが興味深い。
    この機種の上位に同様の補正機能と多少良いメカを積んだT-D7という機種があり、こちらはまだそこそこの値段で取引されているようだ。

    この個体も毎度のジャンク入手なのでちゃんと動かない。不具合は以下の通り。
    1)デッキ1が動かない(デッキ2はかろうじて動く)
    2)デッキ1デッキ2ともフタを開けると勝手に閉じる
    3)ヘッドホンジャックにヘッドホンを挿しただけでハム音(ブーン)が聞こえる
    こんな感じでわかりやすく故障しているので普通の人は捨てるしかない。外装の見た目はきれいだけれど天板はなんかべたついている。
    ヘッドをアルコールで拭いたところ綿棒が茶色くなったのでそこそこ使い込まれた個体のようだ。内部は開けられた形跡はなかった。

    1)はゴムベルトが伸びているらしい。
    とりあえずダビングはしないのでデッキ2を使おうということでスルー。デッキ2も結構怪しいが、とりあえずは音がふにゃふにゃせずに再生できる。 そのうちベルトを交換したいところだ。

    2)はオープンクローズ位置検出スイッチの接触不良。
    接点を磨いてから接点グリスを塗っておいた。 このタイプは接点が酸化して変な動作を起こすことが多いのでよくあるタイプの故障といえるだろう。CD-ROMドライブなどでも使われていて勝手に閉じるのでイラッとすることがある。


    3)は、電源部のコンデンサが漏らしていた。
    カセットデッキはヘッドが微弱信号を扱うのでモーター系などのノイズを拾うことは多いのだが、 モーターが全く動いていないときも鳴っているのでヘッドからではない。ハム音はヘッドホンからもラインアウトからも同じく出ている。その上電源を落としてスタンバイ状態でも出ていたのでちょっとおどろいた。
    かなり大きいレベルのハム音なので電源かなと思って基板を見たらコンデンサが下から漏れて斜めになっていたのでとても分かりやすい状態であった。




    噴いていたコンデンサはELNAのRE2 9651(96年51週製造?)25V 4700uF。同じのが無かったのでジャンク箱にあった日ケミの25V 6800uFと交換して、ハムノイズは全くなくなった。足が抜けていたくらいなので、ノイズはともかくコンデンサなし状態でよく動いていたものだ。


    以上で試聴できる状態になったので古いカセットを聴いてみた。
    高音がある音楽でもちゃんと伸びるのが分かり、なるほど~という感じで分かりやすく補正機能の効果はあるようだ。 機能ONで単純に高級機の音になるわけではないが、詰まった感じのするカセットの音からはだいぶ良いものになるようだ。


    録音状態が悪い場合やフェードアウト時などにエコーがかかって聞こえたり、シャラシャラした低ビットレートのMP3みたいに聞こえる場合もある。 デジタル補正機能を通すということで多少は加工された感じがするのは仕方ない所だろう。

    それよりもS/N 90dBのシールが貼ってあるとおり、カセットとは思えないS/N比を実現しているところのほうが効果が大きい。ノーマルでもハイポジションのテープでも結構聴けてしまうのが良い。ふつうのカセット以上CD未満にはグレードアップする。

    ただ、T-WD5Rのメカの出来はだいぶ安価版なので音の安定感があるわけではない。そもそもオートリバース機では仕方ない面もある。カタログスペックのワウフラッターは0.09%WRMSで更にゴムが伸び気味だからもっとひどいはず。(参考までにSONYのTC-K333ESRなどのカセット全盛期の中級機では0.025%WRMS程度。)

    古いカセットをそれなりにきれいにデジタル化したいとかそういう人には今でも需要があるんじゃないかなーという感じで、低価格でやりたいことを実現した良く出来ている機種であった。

    今回のこの記事に関係あるようなないような感じだけれど、東芝がカセットテープもハイレゾにしてしまうCDラジカセを発売したようだ。

    ・東芝Aurexから世界初の“ハイレゾCDラジカセ”「TY-AK1」登場


    仕組みとしてはちょっと違うのかも。CDもカセットもハイレゾに出来るならなんでもありだなという気はする。T-WD5Rと比べて音質は進化しているのかどうか聴いてみたいところだ。

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