タイトルに反して仕事にならない修理・改造・破壊記事を書くジャンクなblogです。

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    2017年5月24日水曜日

    SONY CDP-M55 CDプレイヤーの修理(CXD1161)

    リモコン付き540円。定価は32,800円。このプレイヤーは1987年製で30歳になる。筐体フレームはオールプラスチック、ヘッドホンにボリュームがないというローエンド機種。

    故障はお決まりのベルトとリーフスイッチで簡単に修理できた。
    やや読みが弱いのでオシロスコープでE-Fバランス、フォーカスバイアス、フォーカス/トラッキングゲインを調整して完了。深い傷の多いディスクはダメだが通常のディスクは再生できるようになった。

    基板を見るとオーディオ周りにはエルナーのduorexが使われていて、一応は配慮をしているようだ。


    購入時には知らなかったが、このモデルは独特なdacを使用している。上写真20pinDIPのCXD1161とあるのがそのdac。
    一応はマルチビットに分類されるが、一般的なマルチビットdacとは違うようだ。
    調べるとSANYOのLC7880と同一(?)のチップで、ピンアサインとブロック図が同じ。SANYOから供給されたもの、もしくはセカンドソースとしてSONYで製造したものと思われる。


    LC7880 DLS-DACはデジタルオーディオ用CMOSD/A変換器で、抵抗ストリング、パルス幅変調、レベルシフトを併用したダイナミックレベルシフト変換方式を用いている。

    とデータシートにはあり、 方式的にはバーブラウンとフィリップスと後に一般的になるPWMの良いとこ取りをしたDACとのこと。
    いまいち理解できていないため具体的になぜ良いとこ取りになるのかは謎なのだが抵抗方式は高精度の製造が難しくレーザーでチップの調整を行うと聞いたことがあり、それを安価に製造できるように補完する意味があったのかもしれない(この辺りは不明)。

    CMOSで当時としては低消費電力のためDiscmanにも使われている。使われたのはD-40,D-88,D-20,D-22,D-90など。この機種の翌年、ややコストダウン版のCDP-M57も発売されている。据え置き型では他社でもローエンド機種に使われたようだ。


    1987年当時はマルチビットが一般的でその後18bit20bitなどとbit競争をした後急激に1bitDACが普及していくのだが、まだマルチビット全盛期にできたちょっと変わったDACと言える。ローエンド向けと言っても1チップながらデュアル構成で内部はDAC6個というのはある意味豪華版。

    聴いてみた印象では、見た目に反して楽しい。CDP-R1/DAS-R1のハイエンドを初めとしたCD全盛期バブル絶頂期の豪華ラインナップにおけるローエンド機種だけあり最低限のラインが高い感じ。
    細やかさはないものの音の広がりがあり、ローレゾながら痩せていない音といったところか。これなら音楽を楽しく聴ける(楽しく聴けるかどうかくらいしか評価できないので何も参考にならないが)。

    90年代の聞いていてつらいローエンドとは違う豊かさで、特に音にこだわりがない人がCDを聞こうとしてこれを買えばちゃんと音楽が聴けるというのは全く羨ましい時代だ。同じDACを使ったDiscmanも定評があるようで、CDP-M55はそれの据え置きバージョンと言えるのかもしれない。
    ピックアップが生きていれば部品取りのつもりだったけれどなかなかそうならないのであった。

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