タイトルに反して仕事にならない修理・改造・破壊記事を書くジャンクなblogです。

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    2011年8月18日木曜日

    天竜川下りの転覆事故は何故起こった?

    8月17日、午後2時過ぎ。
    最初は近所で救急車か消防車のサイレンが騒がしく、火事でも起きたのかなと思っていた。次第に空をヘリが何機も飛び交い、ただごとではない雰囲気になってテレビを見ると天竜川下りの転覆事故ということを知った。
    天竜川下りで事故が起きた記憶は生まれてこの方無いのだが、事実事故が起きてしまった。現時点で2人が死亡し、まだ発見されていない人も居る。



    自分は乗ったことはないが、たまに天竜川下りで船が下っていく光景は目にすることがあった。地元の人が乗るというよりは、他県からの観光客向けの事業だ。小規模ながらほとんど観光の目玉がない西部地域としてはそれなりに人気があるらしい。

    ぱっと見は静かに見えて、実際天竜川は泳げるような川ではない。天竜川下流では、鮎釣りなどで慣れている人は腰まで浸かって釣りをしているが、水は濁っていて足のつかない深みで流されたら慣れていない一般の人では危ないだろう。

    この辺で泳ぐなら、近くにある阿多古川(あたごがわ)のほうが普通だ。こちらは比較的水深が浅く清流で濁っていることは少ない。その阿多古川でさえ数年に1回は深みにはまって溺れる死亡事故が起きるので、誰でも安心という川でもないが。

    事故現場の辺りは、ほとんど波が立つような急流ではなく見た目は穏やかだ。今回の場合、そこに落とし穴があったといえる。上流にダムができ、天竜川下りが比較的安全にできるようになってから今まで一度も事故が起きていなかったから救命胴衣が要るような行為だとは思われていなかったのだ。これは、最近よく言われる「想定外」のことだろう(危険が想定できても経験のなさから安全側に傾いてしまう)。

    事故現場に近い飲食店に飾ってある、ダムができる前の天竜川での木材運搬の写真を見ると天竜川はそれはもう暴れ狂う水の濁流だったと言うことが分かる。それと比べれば今はちゃぷちゃぷと流れているだけに見えるが濁った水面下では流されてきた大きな岩によって複雑な流れがあるのだろう。
    実際、転覆した船は未だに揚がっていないという。船体はFRPで作られているのに未だに揚がらないというのは水面下に複雑な形の岩などがあり引っかかっているのか。

    天竜浜名湖鉄道は第3セクターであり、様々な問題からおそらく当分天竜川下りは休止せざるを得ないと思うのだが、そもそも天竜浜名湖鉄道自体に最近不穏な感じが無くはなかった。今月に入ってから、走行中列車のドアが開いてしまったり、逆にドアが開かなくなったり。

    かなり無理矢理なこじつけだが、チェック体制が間に合っていない等であれば、何か起きるときは組織的に不備がなにかあるのだろう。連日の炎天下を複数回手こぎで下るのは年配の船頭にはつらかったのかもしれない。船頭の体調や交代要員の有無なども要因となるだろう。

    ただ、自分は高速バスではシートベルトを必ず締めるが(2点式なのが不安なくらいだ)、このくそ暑い中で事故の前歴が無い穏やかな天竜川下りだったらライフジャケットは着ないかもしれない。これが急流を下ってスリルを楽しむラフティングだったら誰もが着用するだろう。
    あとは、誰も着てないから着ないというのもある。溺れたら死ぬのが分かっていても、自分だけ着るのが恥ずかしいという日本人の横並び意識はある意味仕方がない。

    人間の感じる危険のバイアス(正常性バイアスだったか)というのは難しい。着用を強制させたら「そんなに危ないの?」と言われ、着用させずに事故が起きれば「何故着用させなかった」と言われる。ラフティングも天竜川下りも、ましてや風呂だって溺れたら死ぬ。風呂に救命胴衣を着ていく人は居ないが。

    亡くなられた方にはご冥福をお祈りしたい。水は恐ろしいものだ。

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